白の色鉛筆

需要と供給が成り立っていない存在

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《たまには勉強をするのこと》

「諏訪子様、火縄銃が伝来したのって何年でしたっけ?」
「閏年」
「……八坂様」
「1543年よ」
 神奈子の答えを聞いて、ノートに数字を書き写す。
 一応は学生だった早苗の為に、慧音が特性のドリルを作ってくれた。
 幻想郷に来てからすっかり学力の落ちていた早苗は、それを使ってかつての学力を取り戻そうとしていたのだ。
 案の定、分からないところもあったが、それは神奈子に訊けば問題ない。
 最初は歴史が得意だという諏訪子に訊いていたのだが、どうにも見当外れの答えしか返ってこないので止めた。
「またそうやって神奈子の方を信じる。大体1543年なんて、ついこないだじゃない」
「いえ、ざっと500年前です」
「時の流れって早いね」
「誤魔化さないでください」
 まあ、何千年も生きていれば時の感覚が狂うことだってある。
 だがそれにしたって、500年はそこそこ長い時間だ。
 神様だからといって、誤魔化せるような年数じゃない。
「仕方ないじゃん。歴史は苦手なんだよ」
 神様にあるまじき発言であった。
「歴史が得意だと言ってたじゃないですか」
「一般的に知られてないレベルの歴史ならね。例えば出雲を揺るがした一大スキャンダルとか。あのね……」
 飛んできたシャープペンシルが、諏訪子の帽子を貫いた。
「人様の事情をベラベラと喋らない」
 余程、言われたくない何かがあるのか。
 神奈子の表情にはかなり余裕がなかった。
「ああ、私の帽子に口ができた……」
「後で縫ってあげるから、貸しなさい」
「自分でやっておいてその言いぐさ! 畳に額をこすりつけるぐらいしたらどうなのさ!」
 再び空を飛ぶシャープペンシル。
「口が鼻の穴になった……」
 がっくりと肩を落とす諏訪子。
 力無く、帽子を神奈子に手渡す。
「それというのも、全部早苗が余計なこと言うからだ! 歴史なんて勉強しなくても、一般常識ぐらいのレベルがあればいいんだよ!」
「八つ当たりですか。じゃあ、聞きますけどペリーが来航したのは何年だか答えられますか?」
「ペリー? 悪いけど英語は苦手なの」
「外国人の名前です」
 しばし考えた諏訪子は、目を輝かせながら答えた。
「ツチガエル見つけた人だ」
「違います」
「じゃあニホンヒキガエル」
「違いますって」
「何ガエルを見つけた人なのさ」
「なんで蛙の発見者に限定されてるんですか! ペリーは黒船で来航し、鎖国していた日本を開国させた人です。来航したのは1853年」
 おお、と頷く諏訪子。
「だけど、早苗。そんな年号なんて覚えても何の意味もないよ。大切なのは、それがどういう結果をもたらし、どういう風に変化を起こしたか。いつなんてのは、調べれば良いこと。そこから何を感じ、どう学ぶか。それが勉強の本質だと私は思うな」
 早苗は言葉に詰まった。
 確かに、年号なんか必死に覚えても何の役にも立たない。そんなものは、所詮受験の為に用意されたふるい落としの道具。
 ある程度の時代さえ分かっていれば、それほど重要な要素ではない。
「諏訪子様の言うとおりです。すいませんでした、無茶な質問なんかして」
「いいよいいよ。ところで、ペリーって何ガエル?」
 ちゃぶ台の上に突っ伏す早苗。
 無言で針仕事をしていた神奈子が、呆れたように呟いた。
「一番大切なのは、人の話を理解することよ」


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  1. 2008/04/29(火) 22:49:55|
  2. 守矢のこと
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<チルノくれー | ホーム | これからの時代はツンツンだろって慧音は言ってなかった>>

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ノーマルシューター。でも神奈子様は苦手。
諏訪子様と小傘とお燐とお嬢様がいればそれで良い。

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