白の色鉛筆

需要と供給が成り立っていない存在

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《キャッチボールで遊ぶのこと》

 放り投げた白球は、綺麗に早苗のグローブに収まった。
 勢いは無かったが、コントロールはなかなかのものを持っている。
 野球未経験者の早苗にも、それだけは理解できた。
 弾幕ごっこの影響だろうか。
「早苗! ほら、パスパス」
 グローブを叩きながら、諏訪子が腰を落とす。
 ボールを握りしめ、早苗も負けじと投げ返すが、明後日どころか来年ぐらい見当外れの方へと飛んでいった。
 それを巧みなステップで追いついた諏訪子が、蛙ばりのジャンピングでキャッチする。
 世が世なら、名内野手として名を残したであろう腕前だ。
「凄いですね、諏訪子様。野球の経験があるんですか?」
「昔、出雲の連中とやったことがあるからね。勿論、私達の圧勝だったけど」
 神様も野球するんだ、と早苗は感心する。
 もっとも、神話の時代に野球などというスポーツがあったのかは疑問だが。玉を棒で打つ程度の遊技なら、あったのかもしれない。
 名前こそ違っても、やってることは一緒だったなんてこともある。
 現に永遠亭はリフティングが異様に上手いそうだが、それは蹴鞠で培った技術だそうだ。
 時が変われども、人間のやることに大差はないようだ。
「出雲の連中ってことは、八坂様とも戦ったんですか?」
「ああ、あいつはエースで四番だったからね。何度も戦ったことがあるよ」
 想像できないが、神奈子もかなりの腕前らしい。
 どうでもいいが、やはり振り回すのは御柱なのだろうか。
 だとしたら、少し恐ろしい。
「思い出すなあ、出雲スタジアムでの最後の戦い。渾身のフラッグボールを神奈子が打って、逆転負けしちゃったんだよね」
「フラッグボールって、聞いたことないですけど」
「当然だよ。私のオリジナルの魔球なんだから。良い機会だから、見せてあげるよ」
 言うや否や、諏訪子はボールを放り投げた。
 早苗でも打てそうなほど遅い玉だ。
「っ!」
 しかしボールは更に速度を落とし、軌道を下げる。
 かと思えば、まるでヘリウムが入っているかのように軌道を上げた。
 いったん沈み、再び浮き上がる。
 なるほど。その軌道は確かにフラッグ(蛙)の名にふさわしい。
「凄い魔球ですね」
「でしょ。なのに、どうしてか神奈子は毎回のようにこれを打つんだよね。なんでかなあ」
 首を傾げる諏訪子。
 後日、早苗はそのことを神奈子に尋ねてみた。
 神奈子は答える。
「ああ、あの魔球ね。簡単よ。だって最後は必ずど真ん中に戻ってくるんですもの」
 諏訪子らしい魔球よね、と神奈子は楽しそうに語った。


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  1. 2008/04/15(火) 22:13:39|
  2. 守矢のこと
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Author:八重結界
ノーマルシューター。でも神奈子様は苦手。
諏訪子様と小傘とお燐とお嬢様がいればそれで良い。

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